久しぶりに実家へ帰ったとき、親の暮らしが少し気になったことはありませんか?
- 「階段の上り下りが大変そう」
- 「使っていない部屋があるのに、昔のままの使い方をしている」
- 「家具が多くて、家の中を移動しにくそう」
親は今までと変わらず暮らしているつもりでも、年齢とともに体力や身体の動きは少しずつ変わっていきます。
一方で、家具の配置や部屋の使い方は、何十年も前から変わっていないというご家庭も少なくありません。

久しぶりに会うと
親の老いが気になる・・・
親が元気な今だからこそ、これからの暮らしを考えて、住まいを少し見直してみませんか?
大がかりなリフォームをしなくても、家具の配置や部屋の使い方を変える(模様替え)だけで、ぐっと暮らしやすくなることがあります。
親が元気なうちに戸建ての実家を見直したい理由
親世代が暮らす住宅は、子育て中の家族構成に合わせてつくられた間取りが多いのです。
例えば、1階にはLDKと和室、2階には夫婦の寝室や子ども部屋。子どもが独立したあとも、夫婦の寝室は2階のままというご家庭も多いのではないでしょうか。
今は問題なく階段を使えていても、これから先、上り下りが負担になることも考えられます。
特に、夜中にトイレへ行くために2階から階段を下りなければならない間取りは、転倒リスクや体の負担の面でも気になるところです。
住み慣れた家だからこそ、今の暮らし方が当たり前になっているかもしれません。
でも、子どもが独立し、家族構成が変わった今、以前と同じ部屋の使い方を続ける必要はないんです。
これからの暮らしに合わせて、部屋の役割を変えてみる。それも住まいを安全・快適に整える一つの方法です。
実家の「生活動線」をチェックしてみよう
住まいを見直すとき、私が大切にしているのが「生活動線」です。
生活動線とは、寝室からトイレ、リビングからキッチンなど、毎日の生活で家の中を移動する経路のこと。
実家で特に確認しておきたいポイントは次の2つです。
- 寝室からトイレまで、無理なく移動できるか
- 階段を使わずに日常生活を送れるか
例えば、2階に寝室があり、トイレは1階にしかない家では、夜中にトイレへ行くたびに階段を下りなければなりません。
また、1階にトイレがあっても、途中に段差があったり、家具が通路を狭くしていたりすると移動しにくくなります。
そんなとき、まず考えてみたいのが「1階に寝室を移すこと」です。
ただし、1階に寝室をつくるといっても、単にベッドを置けばいいわけではありません。
着替えを収納する場所や、昼間の過ごし方なども一緒に考える必要があります。
【間取り実例】戸建ての2階寝室を1階へ!リフォームなしの3つの模様替えプラン
今回は、昔ながらの2階建て住宅(戸建て)を想定して、1階に寝室をつくる3つの模様替えプランを考えてみました。
この家は、1階にダイニングキッチン・応接間・和室があり、寝室は2階。
トイレは1階にしかありません。
家族が集まるためにつくられた応接間や和室も、子どもが独立した今では、以前ほど使わなくなっていると想定します。
この間取りを生かして、リフォームをせずに部屋の役割を変え、寝室を1階へ移す方法を考えてみましょう。
案① 和室を寝室にする(水回り・トイレへの動線短縮)
まず考えられるのが、1階の和室を寝室にする方法です。もともと和室には押入れがあるので、布団を敷いて寝室として使うのであれば、比較的簡単に変更できます。
ただし、今回の和室は6畳。夫婦2人分の布団を敷くことはできても、シングルベッドを2台置くと窮屈になります。
また、寝室を1階に移すとなると、寝具だけでなく、普段着る衣類や着替えるためのスペースも必要です。床の間を収納として活用するなどの工夫も必要です。
寝るための広さだけでなく、着替えや収納も含めて考えることも大切です。
和室を寝室にするのは今ある部屋を活用しやすい方法ですが、夫婦2人の寝室として長く使うには少し工夫が必要かもしれません。
案② 応接間を寝室にする(広さと収納を確保するプラン)
次に考えたいのが、応接間を寝室として使う方法です。
今回の間取りでは、和室よりも応接間の方が広いため、シングルベッドを2台置くことができます。さらに、空いたスペースに衣装ケースやハンガーパイプを置けば、普段着る衣類の収納場所も確保できそうです。
寝室を2階から移す場合、衣類もすべて1階に移動する必要はありません。季節外の衣類などは2階に残し、日常的に使う物だけを1階にまとめる方法もあります。
ただし、ここで問題になるのが、今まで応接間に置いていた家具(大きな応接セットなど)の移動や手放し方です。
そしてもう一つ、「応接間を寝室にすると、昼間にくつろぐ場所はどうするのか?」という点です。
今回の間取りなら、私はダイニングスペースの使い方を見直すことをご提案します。
ダイニングは窓もあり、明るく居心地のよい場所になりそうです。
家具を整理して、食事をするだけでなく、お茶を飲んだりテレビを見たりしてゆっくり過ごせる場所に整えます。
食事をする場所とくつろぐ場所を分ける必要はありません。今の暮らしに必要な家具を選び直すことで、ダイニングを兼用スペースにする、1階全体の役割を見直すプランです。
案③ 夫婦それぞれに寝室とパーソナルスペースをつくるプラン
3つ目は、和室と応接間の両方を寝室として活用するプランです。
和室を一人の寝室に、応接間をもう一人の寝室に。それぞれの部屋にベッドを1台ずつ置けば、衣類の収納や趣味のスペースも確保しやすくなります。
実は、「夫婦の寝室を分けたい」と考える方は少なくありません。
就寝時間が違ったり、相手のいびきや物音が気になったり。
これは夫婦仲の問題ではなく、子育てが終わり家で過ごす時間が長くなったからこそ、お互いが自分の時間を楽しめる場所が大切になるからです。
寝室を分けることで、それぞれの部屋が自分だけの居場所(パーソナルスペース)になります。
もちろん、夫婦で一緒に過ごす時間も大切ですので、ダイニングを共有のくつろぎスペースとして使い分けます。
階段を使わずに暮らせるようにするだけでなく、これからの夫婦2人の暮らし方も考えた模様替えです。
これからの寝室には「布団」より「ベッド」をおすすめする3つの理由
寝室を1階に移す際、もう一つ考えておきたいのが「布団で寝るか、ベッドで寝るか」ということです。
和室での布団生活に慣れている方も多いですが、これからの体調変化を考えると、私はベッドでの生活をおすすめしています。
- 布団の上げ下ろしの負担がない
重い布団を持ち上げて押入れに収納する動作は、年齢とともに大きな負担になります。 - 立ち座りがしやすい
床からの立ち上がりは膝や腰に負担がかかりますが、ベッドなら腰掛けた姿勢から楽に立ち上がれます。 - 万が一の体調不良や介助に対応しやすい
起き上がりにくい時や、家族が介助する際もベッドの方が補助しやすくなります。
今すぐ布団をやめる必要はありませんが、寝室の位置を変えるのであれば、将来ベッドを置くことを前提に部屋の広さや家具配置を考えておくと安心です。
安全性だけでなく「親のお気に入りの場所」も大切に
親の家を見直そうとすると、どうしても安全性や効率に目が向きがちです。
もちろんそれは大切ですが、私はそれと同じくらい「親が心地よく過ごせる場所を残すこと」も大切だと思っています。
長年使っているお気に入りの椅子、庭を眺めながらお茶を飲む窓際の場所、趣味の道具を広げられる小さなスペース。
子どもから見るともっと効率のよい配置があるように思えても、親にとっては大切な時間です。
今回の3つのプランも、どれが正解というわけではありません。「安全に暮らせること」と「自分らしく心地よく暮らせること」、その両方をバランスよく考えることが大切です。
「片付けて」ではなく「これからどう暮らしたい?」と聞こう
親の家が気になると、つい「使っていないなら捨てたら?」「ここに家具があると危ないよ」と言ってしまいがちです。
私も何度この言葉を使ったのか数え切れません。
そして、今は亡き父に
「俺が死んだら好きにしたらいい」と言わせてしまいました。
長年暮らしてきた家を一方的に指摘されるのは、あまり気持ちのよいものではありません。
そんなときは、以下のように言葉をかけてみてはいかがでしょうか。
- 「最近、階段の上り下りは大変じゃない?」
- 「これから1階で寝るようにするのはどうかな?」
- 「家の中で、どこで過ごす時間が一番好き?」
子どもが考える暮らしやすさと、親が感じている暮らしやすさは必ずしも同じではありません。親が元気で自分の希望を伝えられる今だからこそ、一緒に未来の暮らしを会話してみてはいかがでしょうか?
まとめ|今ある家を生かして、これからの暮らしを考える
親の家が暮らしにくそうだと感じても、すぐに大きなリフォームや片付けが必要なケースばかりではありません。
今回ご紹介したように、同じ戸建ての間取りでも、部屋の使い方や家具の配置を変えるだけで、暮らしの選択肢は大きく広がります。
大切なのは、これまでの「部屋の役割」にこだわらず、これからの暮らしに合わせて柔軟に再定義することです。




